ニンニク用小型乾燥室を自作する-ファンとヒーターで自作温風乾燥機-
ニンニクは、収穫してからも乾燥が一大作業となります。
大規模栽培農家であれば、機械乾燥が一般的。
少量であれば日陰の風通しの良い軒下などに吊るしての自然乾燥が一般的です。
しかし去年(2019年)は梅雨が非常に長く、かつ晴れが記録的に少ない年でした。
そういう年には、自然乾燥だと乾ききらず、カビがはえる危険性も高まります。
そこで、去年は自作のニンニク乾燥機を作って対応しました。
でも、去年の乾燥機は有圧換気扇を使い送風での乾燥のみ。
つまり、風を当ててるだけでした。
今年は、去年の問題点もクリアした、新型のニンニク乾燥機を自作したいと思います。
ニンニクの乾燥に必要なのは温度と湿度
ニンニクの乾燥については、様々な研究資料と実地調査データがあります。
まず基本として、収穫時から30%の重量減となるまで乾燥する事。
ところが送風機のみでは20%が限界で、いくら風を当てても30%は厳しかったです。
(後で除湿機を使っての乾燥も試みてますが)
となると、必要なのは温度と湿度。
温度は高い方が湿度が低くなるし、湿度は低い方が乾燥します。
普通は気温が高くなればいいのですが、天候任せは性に合いません。
(半年以上栽培して、最後の乾燥で駄目になるなんて、悲しいじゃないですか)
という事で、温度を上げて湿度を下げる装置を検討します。
ニンニク乾燥に必要な温度とは?
では、ニンニク乾燥には何度が適しているのか?
様々な論文を確認したところ、概ね2種類に分かれます。
- 温風と通風を用いて35度を約2週間
- 収穫5日目前後に50度を6時間。以降は他の手段で乾燥
どちらも一番重要視しているのが、収穫した球種にイモグサレセンチュウがいた場合の対策として。
長期の保存で球種を食害してしまうイモグサレセンチュウ。
その被害がかなり拡大している青森では、特に重要視して研究を続けてきたそうです。
そのイモグサレセンチュウ対策として有効なのが、りん片の中で被害が広がる前に、根本部分を急速に乾燥させる事。
そのために、産地では専用の大型温風乾燥機を使って乾燥させているのですが、私はまだまだ小規模栽培。
そんな大型装置の導入は出来ません。
そこで、その理論はそのまま応用させてもらって、温度を制御できるオリジナルの乾燥機をDIYしてみましょう。
温度スイッチとヒーター、除湿機を組み合わせた簡易乾燥室の試作
ニンニクの乾燥機に求められる性能として。
- 50度もしくは35度に加温する事
- その温度をキープする事
- 湿度を下げるか空気の循環ができる事
まず温度を上げるために、ビニールで囲った狭い空間内でヒーターを用いる事にしました。
続いて、その温度をキープする為には温度スイッチを使います。
※温度スイッチ:設定した温度になると、スイッチをON-OFFする装置
湿度を下げる為に外部の空気を入れると、どうしても温度が下がってしまうか大きな熱量が必要となりますので、密閉空間内で除湿機を使います。
ただし、どれも理論だけなので、しっかりした物を作る前に簡単に試作版を作ってみます。
それがこちら。
パイプ小屋の中に、もうひとつパイプとプチプチ(断熱の為)で囲った空間を作って、その中にニンニクと機材を入れて密閉しています。(地面からの湿気を防ぐ為に、下にも引いています)
中はこんな感じ。
それぞれ解説します。
温度スイッチAM2-XB1
温度を一定に保つ為に使っている、温度スイッチ。
非常にコンパクトで安く、簡単に温度のコントロールが可能。
ヒーターのコンセントの先に繋いで、温度を設定するだけで使えます。
ダイヤルの温度設定がついており、この写真の場合なら50度。
50度に達したら、4度温度が下がるまで電源が切れる仕組みです。
山善のカーボンヒーターDC-S097
ヒーターは、カーボンヒーターとかハロゲンヒーターを使います。
ヒーターは温度スイッチを使う都合上、ダイヤル式で無いと駄目です。
どういう事かというと、温度スイッチでいったんOFFになったあと、再度ONになった時にヒーターの電源が自動で入ってくれないと使えないんですね。
人間がスイッチを押さないとヒーターが動き出さないようでは、一度切れた電源が自動でONにはならないのです。
この機種(山善のDC-S097)は、ダイヤル式のスイッチです。
一度回しておけば、コンセントを入れるだけでヒーターがONになる機種はあまり無くて、かつ自動OFFタイマーも無く、さらには首振りも付いているヒーターはかなり限られると思います。
その点このヒーター、価格も安いし薄型だし、言うことないです(^^)
センタック 押入れ用除湿機QS-101
除湿機は、去年も使ったペルチェ式の小さいやつ。
除湿能力はさほど高くないものの、小型で消費電力も低いのが特徴。
でも、除湿能力は高いに越したことはないので、もっと大型の方がいいかも。
まぁ、わざわざ買う事はないかと、家で使っている除湿機を使ったというだけの話です。
サーキュレーターと温湿度計
温めた空気は上のほうに集まりますから、均一にする為にも空気の撹拌をしましょう。
サーキュレーターをダイソーで購入。
クリップ式で、高いところに設置して熱い空気を下に送る・・・つもりだったのですが、一晩で壊れました(^_^;)
50度の耐熱性は無かったのかと。
(100均の200円商品にそこまで求めるのは酷ですけどね)
自動電源OFF機能は無しで、首振り機能は有りのもう少し良い物を下に置くのが良さそう。
あとは、現状の温度と湿度を確認する為の温湿度計も入れておけばバッチリです。
あとは実際使ってみて、改善していけば良いでしょう。
栽培量が増えても、ある程度までは装置も拡大させていけば良いだけですしね。
これで、今年は雨が多くてもしっかりニンニクも乾燥するはず。
使用レポートはまた別の記事で!