丈夫でコスパの良いパイプ小屋を自作する(1)-設計と部材の調達-
税金も申請も不要な農作業用小屋の検討を、以前4回に渡って記事にしました。
農作業小屋の自作を検討する(1)_土地計画法と農地法
農作業小屋の自作を検討する(2)_建築基準法
農作業小屋の自作を検討する(3)_固定資産税
農作業小屋の自作を検討する(4)_申請も税金も不要な小屋とは?
メインの目的は、匂いが激しいニンニク関係の作業小屋が欲しかった事。
ニンニクの収穫(5月中旬)にはギリギリ屋根をつけるところまで完成(8割完成)したので、作業の手順を紹介していきます。
パイプ小屋の設計
申請と税金不要の為に、10m2以下・10万円以下というハードルがありますが、安さにこだわって弱い小屋を建てては意味がありません。
いかに強度を高くし、かつ安価にコスパ良く小屋を建てるか、まず最初にしっかりと検討します。
ちなみにビニールハウスの手作りキットも売られていて、10m2程度だとすると、本格的な良い物(パイプは22mmか25mm)でだいたい7万円前後。
安い物(パイプ16mm程度で薄肉)だと3万円以下でもあります。
ただ、断言しても良いですが、安い物の耐久性はかなり低いです。
以前購入しているのでわかりますが、ビニールは1年程度で劣化し、地面に刺さっていた部分は腐り、パイプは台風であっさり折れ、とても長期で安心しては使えません。(補強を繰り返してなんとか・・)
ですので私が目指すのは、強度的にはこれら以上を目指し、かつコスパの高い小屋を目指します。
という事で、使う部材の構想を以下のようにしてみました。
- 強度を上げる為、柱は足場でも使われる48.6mmとする
- 屋根や横梁などは、コストを抑える為に25.4mmを使用する
- 壁や屋根はビニールハウス用のビニールを使用する
それぞれ解説します。
1. 強度を上げる為、柱は足場でも使われる48.6mmとする
一般的なビニールハウスでは、農業用の鋼管を使用しており、外径19.1・22.2・25.4mmなどが採用されています。
ただ、その太さで強風時に安心できる強度とするには、かなりの本数を柱とするか、様々な強風対策が必要になります。
そこで、柱だけ太くする事で強度をあげつつ、柱の本数もジョイントも減らせられれば、コストと強度のバランスが保てるのでは?と考えました。
詳しい計算は割愛しますが、農業用鋼管と足場用単管では、曲げに対する強度が段違いです。
(上に人間や重たい物を載せるので当たり前ですが)
単純に1本のパイプとしての計算ですが、曲げとねじれに対する強度をφ48.6×1.8mm厚の足場用単管と比較すると・・
(断面二次モーメントの2乗で比較)
・φ19.1×1.2mm厚:約720分の1(価格差約2.2分の1)
・φ22.2×1.2mm厚:約270分の1(価格差約2分の1)
・φ25.4×1.2mm厚:約120分の1(価格差約1.8分の1)
と、強度には比較にもならない差があるのに、金額はそこまで差がありません。
ならば、48.6mmの足場用単管を柱とすれば、相当強度の高い小屋になると予測出来ます。
2. 屋根や横梁などは、コストを抑える為に25.4mmを使用する
ただ、全ての部材を足場用単管にすると、加工と施工が大変だし、コストも上がりすぎます。
(継手が特に高いので)
10万円以下の縛りを越えてしまう可能性も大。
そこで、屋根や横梁についてはそこまでの強度は不要と判断し、25.4mmの農業用鋼管を採用します。
大きく太さの違うパイプを繋ぐジョイントをどうするかが、課題ですが。
3. 壁や屋根はビニールハウス用のビニールを使用する
税金の問題をクリアするには、パイプとビニールで建てられた、「仮設小屋」という条件も必要になります。
それと、板を貼っていくと高額になるのもあり、外装は全てビニールにします。
(木材で同等サイズの小屋を建てると、だいたい20万円ほど掛かる・・)
柱さえしっかりしていれば、いざビニールが破けても修復は簡単に済むかな・・?という目論見もありますが。
なおビニールにも色々種類があるので、そこは要検討です。
パイプを繋ぐジョイントを検討する
素材を決めたら、次はジョイント関係を検討します。
どのようなジョイントがあるのか、そこから調べていたのですが、このサイトが非常にわかりやすく、かつ安価で売っていたので、とても助かりました。(発送も早い!)
用途ごとに、1部品ずつ解説してくれているので、実にわかりやすいです。
このサイトを見ながら、どんなジョイントを使ってパイプ小屋を作るか検討。
手書きで簡単な絵と図面を書き、それを元に必要なジョイントをリスト化して購入しました。
完成したら、最終的な部材リストと合計額を公開する予定です。
次回からは、実際に建て始めます。