耕運機と管理機の違いと、駆動方式や種類について
新しい畑を借り、面積が広がった事もあって、これまでのように鍬一本で耕すのにも限界を感じていました。
それに半農の身では、やはり時間が惜しい。
という事で、いよいよ動力を使って耕す事にします。
それにともない、耕運する農機具について調べてまとめてみました。
耕耘する農機具の種類
耕運する・・と言えば、まず最初に上がるのがトラクターでしょう。
トラクターを日本語に置き換えるなら、「牽引車両」。
古来は牛や馬に引かせていた農具を、車で引っ張ったり、エンジンで回したりしています。
引く農具の種類(アタッチメント)を変える事で様々な作業を行え、耕耘用としてだけでなく農業における万能機でもあります。
ただ、基本的には大型の農機具である為、細かい作業や管理、小規模栽培ではあまり適さないです。
割と高額ですしね(大型になれば高級車よりよほど高い・・)
耕運機と管理機の違い
続いては、耕運機と管理機。
乗用するトラクターとは違い、人間が手で押して使う農機具です。
世間一般的に認知度が高いのは、コレのような物でしょう。
これを耕運機と呼ぶのが、今では一般的です。
しかし、こういった農機具の歴史を紐解くと、昔と意味合いが違ってきているようです。
元々上のような農機具は、「管理機」と呼ばれていました。
トラクターで耕耘した後、畝立てや土寄せなどの細かい作業や管理をする為の農機具であり、ゆえに「管理機」。
耕耘は大型・高出力のトラクターに任せるのが基本で、このような農機具は「耕耘をメインで行う農機具では無い」はずでした。
ところが、家庭菜園や小規模での栽培農家ではトラクターは大型過ぎるのと、管理機でも耕運機として使えるので、ユーザーとメーカーのニーズが一致したんですね。
という事で、「管理機」としてではなく「耕運機」としてもメーカーも販売するようになり、今では世間一般的に耕運機と言えば上の写真のような機械を指すようになった・・と思われます(※あめつち菜人調べ)
という事で、現在(2020年)「耕運機」と「管理機」の違いは厳密ではなく、メーカーによっても変わってくるので、あまり気にしなくても良いのではないでしょうか。
ただ、当ブログでは(というか私は)耕耘をメインで使っていますので、「耕運機」と統一して書くようにします。
耕運機の種類
耕運機にも、どこに耕す為の刃がつくかによって大きく三種類に分類されます。
それぞれ簡単に解説します。
車軸ロータリー式耕運機
最も一般的な耕運機の形状です。(先程の写真の耕運機)
駆動用の車輪は無く、耕耘用のロータリー刃がタイヤの代わりになります。
(移動時のみアタッチメントでタイヤをつける事はある)
車輪がそのままロータリー刃になる事からの名称でしょう。
メリットは、シンプルで小型軽量な作りになる事。(その分価格も安め)
馬力にもよりますが、小型機なら一人で持ち上がり、自家用車のトランクに積む事も出来ます。
作業的には、ロータリー刃を土深く沈めようとするならば、この方式が一番です。
抵抗棒を深く刺し、前後に揺すっていけば、ロータリー刃が全て土の中に埋まるぐらいの深さまで耕耘できます。
トラクターでもロータリー刃で耕耘するのであれば、深さは殆ど変わりありません。
作業時間が桁違いなだけです。
また、畝立て作業に向くのもこの方式です。
逆にデメリットとしては、畑の角の耕耘がやりにくい事、方向転換や移動が手間な事ですね。
フロントロータリー式耕運機
車軸ロータリー式とは異なり、移動用の車輪が付きます。
その車輪の前側にロータリー刃がつくことから、この名称になっています。
メリットは、何よりもまず一番安全である事。
回転する刃物が移動輪より前にある為、足が巻き込まれるといった事故が起きにくいです。
そして、タイヤより前にロータリー刃がある事で、畑の隅々まで耕耘できる事、方向転換が容易な事もメリットになります。
デメリットは、重いエンジンより前にロータリー刃がある事で、土に強く押し付ける事が出来ず、深く耕すのは苦手な事。
また、価格的には3種類の中で一番割高です。
リアロータリー式耕運機
トラクターと同じ配置で、移動輪の後ろにロータリー刃が付きます。
メリットは、エンジンの重みを利用して、土にロータリー刃を押し付けやすく、耕しやすい事。
機体を安定させやすく、作業全般しやすい事が挙げられます。
最大のデメリットは、危険性が一番高い事。
足元で刃物が回転している為、足を巻き込まれると重大事故になります。
特に、バックする時が一番危険で、今では後進時にはロータリーが回らない機種が主流です。
動力源による違い
3種類の耕耘方法による分別の他、動力源による違いもあります。
刈払機の解説のときにも紹介しています。
こちらでも簡単に紹介します。
エンジン式耕運機
昔からある方式で、最も一般的です。
2サイクル・4サイクルと二種類ありますが、その違いは上記刈払機の紹介で詳しく書いていますのでご参照を。
メリットは、一番パワーが出る事。深く早く耕すには、やはりパワーが一番重要です。
デメリットは、騒音と燃料供給の手間、そして使わない時のメンテナンスが面倒な事です。
充電式耕運機
バッテリー駆動の耕運機です。
2020年現在、バッテリーの性能もかなり上がってきた事から、家庭菜園レベルなら実用に耐える機種が増えてきています。
マキタの36V充電式シリーズなら、評判も高くオススメです。
メリット・デメリットは、エンジン式の真逆です。
騒音が少ない事・メンテナンスが簡単な事がメリットで、パワーが弱めな事がデメリット。
それに加えて、バッテリーゆえの持ち運びのしやすさもメリットですが、切れてしまうと充電に時間がかかるのも特徴。
場所や用途によっては、充電式こそが一番ラクに扱える場合もあるでしょう。
100V式耕運機
100Vコンセントから動く有線式耕運機。
充電式同様、騒音やメンテナンス性ではメリットがありますが、有線ゆえに取り回しと電源確保が難しい事が最大のデメリットです。
それがクリア出来るのであれば、バッテリー切れとは無縁になるので、メリットをうまく活かした使い方が出来ると思います。
私も、庭で使う刈払機では100V式を採用していました。
ガス式耕運機
カセットガスを動力とする、一風変わった耕運機。
家庭菜園やガーデニングのニーズと合致したのか、2009年にホンダが発売したと同時に大いに売れ、ヒット商品となりました。
カセットガスは、卓上ガスコンロに使うものと一緒でよく、入手や交換が容易です。
軽く静かで、メンテナンス性も非常に良好なのもメリット。
デメリットは、やはりパワーがそれなりな事と、長時間・大面積を耕耘するには燃料のコストが高い事。
こちらも、用途を絞れば非常に便利な方式でしょう。
そういえば、ホンダはカセットガス式の発電機もヒット商品として出してましたね。
という事で、様々な耕運機を調べ上げてから、私も自分のニーズに合わせた物を購入しました。
それについてはまた次回の記事でご紹介します。