硬盤層が形成される要因と原因

農機の大型化や化学肥料の使用などで問題になりやすいのが、「硬盤層による障害」です。

硬盤層とは、その名の通り、水も空気も通さないような硬くなった地層の事です。

この硬盤層のデメリットは多くて・・・

  • 植物の根張りが悪くなる(根が硬盤層で止まる)
  • 排水性の悪化(水が浸透せず止まる)
  • 水の滞留による腐敗
  • 化成肥料や薬剤成分の蓄積

などなど。良いことはありません。

ではこの硬盤層、なぜ出来てしまうのでしょうか。

硬盤層が形成される要因

硬盤層が形成される要因・原因は大きく2点です。

「重機・農機による踏み固め」「化成肥料や土壌消毒などによる微生物性の悪化」

それぞれ説明します。

重機・農機による踏み固め

現代農業では、トラクターや耕運機のロータリーで耕耘するのが常識になっています。

でも、通常のロータリー耕で耕せる深さは、せいぜい20cm程度。

それを重たい農機で繰り返すとどうなるかというと・・・

まずトラクターの重量で、土は下に押し固められます。

そして、ロータリー刃の届かない深さより下の層は、ロータリー耕を繰り返す程に、さらに下に押し固められます。

結果、ちょうどロータリー刃の届かない真下の層がカチカチに固まるのです。

表面の作土層はフカフカに耕せたようでも、見えない土の中では大変な事態に・・・

化成肥料や土壌消毒などによる微生物性の悪化

もう一つの原因が、化成肥料や土壌消毒などによる、微生物性の悪化です。

よく言われる、良い土の条件が団粒構造。

排水性と保水性を兼ね揃えた状態ですが、これを形成するには土中の微生物性を良くする必要があります。

ですが、土壌消毒を行うと役に立つ微生物も死滅させる結果となってしまうのです。

また、化成肥料ばかりを与えていると、それをエサに出来ない微生物は増殖出来ません。

さらにはすぐ近くに栄養があるせいで、作物は根を深く広く張らなくなり、根による硬盤破壊も無くなります。

そういった理由から、微生物の死滅した固くて隙間の無い層が形成されていくのです。

 

こうして出来てしまった硬盤層。そのままでは作物は健全に育たず質も収量も落ちてしまいます。

では、その硬盤層を破壊するにはどうすれば良いか、次回解説します。