電熱線を短くして使いたい場合の電源を計算する
とある用途で、農業用の電熱線を使っています。
ただ、売られている電熱線が長すぎて、私の用途では非常に使いにくい。
(数mだけ欲しいのに、31mなので・・)が
もっと短い物を探してみたものの、用途に合った物は見つからなかった為、ならば自分で必要な長さに切って使おうと検討してみました。
※注意!
電熱線を切断しての使用は、販売元からは禁止されています。
扱い方を間違えると、火事や事故・もしくは取り返しのつかない怪我や命の危険がある可能性もあります。
このブログを参考にして事故が発生しても責任は取れませんし、絶対に間違っていない自信もありません。
あくまで、「空想で検討した」内容という事で読み進めて下さい。
電熱線の長さで考える
まず、実際に使いたい電熱線の元々の仕様を確認します。
電圧:100V
電力:250W
長さ:31m
ここから、必要な他の情報を計算します。
電流:2.5A(電力÷電圧)
抵抗:40Ω(電圧÷電流)
この電熱線を使う時の回路図はこんな感じになります。
この電熱線(抵抗)が長すぎるので、短く切断して使いたい訳ですが、短くした分抵抗は小さくなります。
例えば半分の10.5mに短くすれば、抵抗も半分の20Ωとなり、電流=電圧÷抵抗の計算から100V/20Ω=5Aで倍の電流となります。
そして、電力W=電圧V×電流Aですから、100V×5A=500Wで元の250Wから倍となり、それだけ電熱線は熱くなります。
結果、電熱線の被覆が溶けるかもしれないし、燃えるかもしれません。つまり危険。
という事で、短くしても同じ発熱量で使いたいなら電圧を落とす必要があるのです。
まず、使いたい長さを考えてみました。
ざっくり使いたい長さは3m。
電熱線が31mなので、わかりやすく1/10の3.1mで計算してみましょう。
先程書いたように、電熱線の抵抗値は長さに比例します。
31mで40Ωなら、3.1mは1/10の長さなので、抵抗も1/10となり4Ωです。
これで元の電圧100Vを流すと、100V/4Ω=25Aとなり、元の10倍の電流が流れます。
25Aって、ひとり暮らしのワンルームなら、だいたいブレーカーが一発で落ちるぐらいの電流です。
つまり危険。
電力も25A×100V=2500Wで、間違いなく電熱線は溶けるか発火しますね。
そこで、電圧も下げる必要があります。
電圧も1/10の10Vとすれば、10V/4Ω=2.5Aで元と同じ電流となります。
でも、10Vの電圧を用意する道具が手持ちで無いのです。
用意出来る電圧で考える
そこで、10Vに近くて用意できる電圧を考えてみましょう。
家庭用の交流100V電源を、お手軽に直流へと変換できる物といえば、ACアダプター。
ノートパソコンや、スマートフォンの充電に使うやつですね。
もう使っていないノートパソコンのACアダプターを見たら、
INPUT:AC100-240V , 50-60Hz
OUTPUT:12V – 3A MAX
と書かれていました。
これは、交流100Vから240V(50~60Hz)までの範囲で入力したら、ACアダプターで直流12Vに変換して出力するよ、ただし3Aまでしか流しちゃダメだよ・・という意味です。
出力は10Vに近いし、様々な制御に使う電圧もDC12VかDC24Vが多いので、ちょうどいい感じです。
それと大事なのが、出力がMAX3A。
この3Aが定格電流で、ここまでしか流せないという数字です。
(これ以上の電流を流すと、ACアダプターが発熱して壊れるか燃えます。つまり危険)
元々の電熱線仕様が100Vで2.5Aでしたから、おなじ2.5Aを流すなら許容範囲内です。
(2割ぐらいの余裕は見ておいた方が良いので、2.5A×1.2=3Aとギリギリとも言えます。)
という事で、このDC12Vを使う事にして、それに合わせて考えてみましょう。
12Vで2.5Aの電流を流したいので・・
12V/2.5A=4.8Ω
4.8Ωになるように、電熱線の長さを調整しましょう。
31mで40Ωですから、31*(4.8/40)=3.72m
という事で電熱線を3.72mにして、12V電源を使えば、元々と同じ仕様で使えます。
(同じ仕様というのは、例えば電熱線1mあたりの発熱量が一緒という事)
他にも、スピードコントローラーを用いて電力の調整も可能なようですが、ここでは割愛します。
(自分で理屈がよくわかっていない・・ってのはナイショ)
また重ねて書きますが、真似して事故等あっても責任は取れませんので、そこをよく踏まえておきましょうね!