ミミズのいる土は本当に良い土か?シマミミズとフトミミズの違い
よく聞く話ですが、「ミミズがたくさんいる畑は、いい土だ」とか言いますよね。
でも、そんな単純な話では無いのです。
実は、ミミズの種類によっては、「ミミズがたくさんいる畑は、未熟な土」という事もあります。
それに、ミミズがたくさんいる事でのデメリットもあります。
そのあたりを詳しく解説してみましょう。
日本にいるミミズは大きく2種類
日本で土の中にいるミミズは、大きくはほぼ2種類です。
「フトミミズ科」と「ツリミミズ科」の2種類。
一般的には、「フトミミズ」と「シマミミズ」と呼ばれています。
フトミミズ科
その名の通り、10cm前後で太く大きめのミミズです。
沖縄を除く日本中に生息しており、一般的に一番良く見るミミズがこのフトミミズでしょう。
土中の有機物を食べ、栄養豊富なフンを出す事で土壌を肥沃にしていきます。
彼らの活躍で、土壌の通気性や物性・微生物性が改善され、また植物がより吸収しやすい状態にも変化していきます。
ただ生き物ですので、過剰に消毒された土壌では生息できないという事もあり、土の状態を知るバロメーターにもなります。
このフトミミズが一定数いるという事は、畑の状態は良好と思っていいでしょう。
ツリミミズ科(シマミミズ)
ツリミミズは、フトミミズに比べて細く短い種です。
繁殖力はフトミミズより強いものの、好んで生息するのが「未熟な有機物が豊富」な場所なので、あまり畑の土壌の中では見かけません。
未熟、もしくは腐敗した有機物を餌として食べ、分解してフンとして出すため、生ゴミの分解に活用されます。
いわゆる、ミミズコンポストですね。
ミミズコンポストに使われるのは、ツリミミズ科のシマミミズがほとんどです。
繁殖力が強いのも、こういう場面で有利な訳です。
ただ、このツリミミズが畑で大量に見かけたら、かなり異常な状態です。
腐敗した有機物を好むという事は、土壌に腐った物が大量にあるという事ですから。
ミミズが多いほど良い土壌なのか?
フトミミズが一定数いる土壌は、良い土壌と書きました。
ただ、多ければ良いという訳でもありません。
ミミズが多く繁殖する = 餌が豊富 という事です。
餌が豊富という事は、分解される前の有機物(未熟な有機物)が大量にある訳です。
未熟な有機物は、作物にかなり悪さをします。
病気を引き起こすカビを繁殖させたり、微生物も一気に増殖して、その際に作物に必要な窒素を奪い取ったり、発酵のしすぎで高温障害が発生したり・・・とまぁ、悪いことだらけです。
そういう状態に陥っているのに、ミミズが多いから良い土壌だ!・・・と勘違いして、さらに未熟な堆肥を追加してしまうといった悪循環も怖いです。
有機物は、ある程度熟成が進んだ状態で畑に入れましょう。
あと、ミミズが多いとモグラもたくさん引き寄せます。
モグラ自身は作物を食べませんが、畑の畝を壊したり、作物の倒壊を招いたりもするので、好まれる動物ではありませんよね。
という事で、ミミズがたくさんいる土壌が良いとは言い切れない訳です。
大事なのは、何事もバランスって事ですね(^^)